日本経済新聞は2013年に、脱原発を「思い込み」にして、脱却を狙う

本日の日本経済新聞一面のを読んで、あまりにも酷い内容なので唖然とした。特集「2013年展望(上)」のインタビュー記事だ。全文を掲載するので、まずは一読してもらいたい。

(上)「思い込み」から抜け出せ 工学院大教授 畑村洋太郎氏

震災復興、デフレ脱却、高齢化への対処……。新政権の前途には難題が山のようにある。2013年の日本はどうすれば展望が開けるだろうか。

――原子力発電所事故からどんな教訓を引き出すべきでしょう。

「事故の原因は『長時間の電源喪失は起こらない』との前提で運営していたことに尽きる。『あり得ることは起こる』『思いつきもしない現象も起こる』と考えるべきだ。2000年に米国の原発の専門家にこう言われた。『日本の技術屋は言わないといけないことを言わない。いつか大事故に見舞われるぞ』と」

狭い国民の視野

――原発政策は衆院選の主要争点でしたが、具体的な議論にはつながりませんでした。

「国民の反応は極端で視野が狭くなっている。反対派は事故が起きた途端に『脱原発』『放射能ゼロ』に傾斜し、電力需給の安定に気を配れなくなっている。原発維持の側も多くの人が『安全基準さえあれば再稼働できる』と過信している。日本人は『黙る』『考えない』『思い込む』のどれかに陥っている。これらを正反対の姿勢に改めなければ、適切な技術開発はできない」

「原発に関してだけではない。財政難の根っこにあるのも『あり得ることは起こる』と考えない姿勢だ。国際収支が赤字になり、これ以上借金すれば、いずれ利払いができなくなる。最悪のシナリオは米国や中国に金を借りる事態が起こること、日本国債を米中に大量購入されることではないだろうか。消費税率引き上げへの反対意見もわかるが、ほかの国に運命を左右される未来図に目をつぶるのも怖いことだ」

――高速道路の天井崩落事故も起きました。

「原発もそうだが、日本が世界一の水準に近いと思える技術はいくつかある。だが、ほかの国に大した技術がないと思うのは傲慢だ。公共投資をみても、中国やインドは鉄道など必要なインフラの技術を猛烈な勢いで磨き上げている。単に金をばらまくのではなく、目標を明確に絞り込んで取り組んでいる」

「インドの地下鉄は100秒おきに列車を運行させる目標を立てているという。今の日本でも最短120秒ぐらいかかる。そう遠くない時期に日本は追い越されるところまできている」

「中国やインドの技術者は、自前のノウハウを押しつけようとする日本の姿勢を嫌がっている。彼らが望むのはノウホワイ(know-why)。どうやるかでなく、なぜやるか。それがわかれば、自国の風土や市場に合った技術を磨き上げられるというわけだ」

「いい物」に固執

――大手電機メーカーが苦戦するなど国際的な競争力低下は深刻です。

「中国で液晶や半導体メーカーの担当者に話を聞くと、市場の声に即した製品なら技術は周回遅れでも構わないという。日本は『いい物を作れば売れる』と自社製品に自信を見せるが、そういう発想に凝り固まっているから逆に市場の求めに応じきれていない面がある。たとえば中国製品が市場をほぼ独占した太陽光パネルはどうか。品質などに問題はあるだろうが、安さを求める消費者に素直に応えた結果にほかならない」

「日本の企業は欧米のまねをして高度成長を果たしてきたが、お手本がなくなり迷走している。これからの日本には市場や社会の要求に謙虚に耳をすます姿勢が大切になってくる」

(聞き手は大滝康弘)

はたむら・ようたろう 東大教授を経て、2001年に畑村創造工学研究所を開設。失敗学を提唱、鉄道脱線など事故の再発防止策を企業に助言している。原発事故では政府検証委の委員長を務めた。東京都出身、71歳。

外面は新聞記事らしく、中立公平を装っているかもしれないが、中身は「思い込み」の塊だ。どうしてこんな記事を一面に持ってこれるのか理解に苦しむ。

冒頭で、”事故の原因は『長時間の電源喪失は起こらない』との前提で運営していたことに尽きる”と言い切っているのだからすごい。この人が”原発事故では政府検証委の委員長を務めた”というのにもびっくりした。原発以外にも色々と意見を言っているのだが、ほとんどピント外れの様相を示している。そもそも、理系の方が、経済を語るのはどうしたことか・・・。

“最悪のシナリオは・・・日本国債を米中に大量購入されること”との意見だが、日本がアメリカの国債を大量購入していることにはどう考えているのだろうか?などなど、記事の最初から最後まで、年寄の寝言が連なっている。

「思い込み」からの脱却は、なかなか難しそうだ。