生死同源 篠原佳年

高血圧治療のため4ヶ月おきに病院に通っていますが、だいたい半日つぶれますね。おかけで、なかなか読み終えなかった本、生死同源が読めました。著者の篠原佳年氏の大ファンで、生死同源の著者略歴に紹介されていた著書、意識の扉を開けて、快癒力、快癒力2、治癒力創造、絶対想像力、絶対成功力、モーツァルト療法、奇跡の聴覚セラピーはほとんど読んでいますが、この本を含めて、すべて読みやすくためになるものばかりです。

今回の生死同源は、いままで、みえなかった著者の生活環境などに言及されており、これまでの著書の背景を窺うことができます。先天性失語症の息子さんがおられて、さらに奥さんが心の病におかされる。子供時代をみれば、厳格な両親の基で、苦しい生活を余儀なくされていた。病気の時を見計らってほしかった品をねだっていたというような事も紹介しています。

診療に自身の気を利用してみたり、サイババや霊能者をたずねることもしています。不思議な体験を重ねてもいるのです。そういった事柄にもページを割いているのが今までとはちがっているところでしょうか。

また、聴覚セラピーやモーツァルト療法などにみられる新進の医療知識の紹介も彼の得意とするところですが、今回は眼球の光彩ですか、目は口ほどにものをいいというわけではありませんが、光彩には遺伝子などのすべての情報がリアルタイムで表現されているということが紹介されています。

売れている本のためか、中古本は安く手に入ります。アマゾンでは一円から出品されていますし、ブックオフでは105円。私はブックマーケットで50円で購入しました。

ということで、今回は本書198頁の時間は脳がつくりだしたトリックをご紹介しましょう。

「今、自分はここにいる、という意識とは何か」

誰でも人にはライフワークというものがあると思いますが、私のライフワークめいたものの核心は、この一点にあります。「時間」の謎解きとでも三口ったらいいでしょうか。

医者をしている私は、いわゆる健康法を人様に教えるために、本を書いたりする活動をしているわけではない。「五感から心にアクセスしよう」「自分に気づきましょう」1その提案には私なりの経験からくる理由はあっても、それだけの論拠で「健康革命」と言っているのでもない。

前にも触れたように「病気を治す」には「病気も健康も気にしない生活」が大切なのですが、では「生きる」とは何なのかというと、それは「時間」と「空間」を「生きる」ということ。そう考えているわけです。

振り返って、私たちは、余りにも「時間」について無頓着すぎたのではないかと思います。「時間」の観念がなく「時間」の日常性に埋もれて、しかも「時間」に追われる。こうした現代人の生活こそが、病気を果てしなく再生産させる、元凶なのではないか。

たとえばこのように病気について考えるとき、いつも「時間」というものが、付きまとうのです。あるいは「過去のストレスが病気を招いた」と、ある患者さんに認識してもらおうとします。

それは、今のメガネで「過去のストレス」と思っているわけで、「今」の解読次第で過去の物語が変わるのです。その「今」という感覚に、我々は[日覚めるべきではないか。

「今、ここにいる」

という原始的な現実感覚を人から失わせた「時間」というものの何たるかに、自分なりの回答を出してみたい。それが私にとって「生きる」ことと同義になりました。

以前、寿命ということについてしばらくの間、考えていましたが、私は結局、人間の百年の一生も、蜻蛉の一日も変わらないという結論に達しました。

これを考える経緯にも「時間」という難題が鍵になりました。

「時間」と脳の関係と言いましょうか。まず人間が何かを考えるときに、思考はひとつしか浮かんでこない、これは経験上、分かります。では同時に複数が浮かんだとしたら~それは「時間」がズレて感じられるだけのことではないか。私はそう考えました。

そうだとすれば、生きるということは脳の営みにすぎない。

なぜなら、私の人生が百年あったとして、それは脳というスクリーンに浮かぶ思考がひとつずつだから百年かかるだけなのであって、一瞬で百個を浮かばせる複数のスクリーンを持っているなら、私たちの人生は一瞬で終わることになる。

人間の思考白体の回路が単線であるがゆえに、また脳のスクリーンがひとつであるがゆえに百年かかるのだとすれば、寿命が百年だろうが一年だろうが、一生には変わりがない。私はそう考えたのです。一生に変わりがないならば、たとえ一年しか生きられない子がいても、たとえ五体不満足であっても、嘆き悲しむこともない。

私が身内の癒気という悩みから立ち直れたのも、「時間」の問題を解いていく過程で、そうした考え方に辿り着いたからだったと思います。

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