J・エドガーを鑑賞した。芝山幹郎の解説に膝を打った。

良かった。

実は、同じ日に「アーティスツ」も鑑賞。こちらも良かった。しばらく時間が経つと、J・エドガーが心に残っているのがわかった。日常の空いた時間に、J・エドガーの陰がちらつく。何でだろうと思いつつ、数日経ってからネットサーフィンしていると出会いましたねいい解説に。思わず膝を打ったのがこれだ!!

陰翳豊かな演出作法 芝山幹郎

「J・エドガー」のイーストウッドは確信犯だ。話は盛り上げない。人間関係も詳述しない。灰色の体質を持った主人公が、灰色の服を着て、時代の灰色の部分を爪先立ちで歩いていく。しかも、期間が長い。J・エドガーは、FBIの頂点に48年間も君臨した。
「フーバー」と題さずに「J・エドガー」と題したのは、私人の側面を強調しようとしたからだ。背後には、時代時代の大きな事件も裁ち入れられる。アメリカ共産党の結成、リンドバーグ愛児誘拐事件、JFK暗殺事件。
複数の点がつながって、線を作る。線は交差して面となり、映画に奥行きをもたらす。衣装と美術も素晴らしい。イーストウッドは、陰翳豊かな演出作法を手の内に収めている。

「イーストウッドは確信犯だ」がすべてです。

テーマも興業も非常に難しい映画だったが、「話は盛り上げない。人間関係も詳述しない。灰色の体質を持った主人公が、灰色の服を着て、時代の灰色の部分を爪先立ちで歩」くように映画を作りあげた。同性愛も、女装趣味もスキャンダルをネタにした恐喝も描いていないわけではないが、真実にはほど遠い描写に留めている。しかも、映画の終わりには、クライド・トルソンにエドガーが自分の作った嘘さえ事実だと思いこんでいると語らしめ、映画そのものの信憑性を否定している。灰色さえも透明にして観客を煙に巻いてしまっているのだ。

まあ、このぐらい用意周到でないと、アメリカで生きていく(比喩ではありません、文字通りの意味です)ことは難しいと言うことでしょう。

それでもなお、いやそれ故にというべきか。透明になったスカスカの映画は、エドガーのコア、真核を描くことに成功しています。ディカプリオは良かったですね。

 

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