顔をなくした女 /大平健

顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理読みました。この本は、ドキュメンタリー心理ミステリー集とでもいいましょうか。著者の大平健さんは、診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界を読んでファンになりましたが、この本も楽しく読ませていただきました。

私は、小説はほとんど読みません。特に、ミステリーは全く読まないと言っていいでしょう。つまらないトリックや謎解きにはしらけてしまうのです。ミステリーを読む暇があったら自分を生きていた方がよっぽとおもしろい。同じように、賭け事も、ゲームもやりません。自分の生活の方が遙かにおもしろいからです。事実は小説よりも奇なりといいますが、まさにその通りだと思います。

つまらない人生などはありません。ただ人生の見方や評価がつまらないだけです。もしあなたがつまらない人生を送っているとお思いなら、もしくはゲームや賭け事が楽しくて仕方ないというのなら、診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理などの大平健作品はいい参考書になるかもしれません。

表題の「顔をなくした女」は特に秀逸でした。人生の見方も、タマネギの皮をめくるように次から次へと提示されてきます。評価や謎解きが、物語の進行とともに深厚になっていくのです。30ページほどの短編だが、実に深い。

シュタイナーによれば、人間が死んでからすることは、過去の人生を振り返ることだといいます。単に振り返るのではなく、相手の立場から振り返ることもするとのことです。例えば、自分が殴った相手の立場から自分を振り返る。もしくは、自分が助けた相手の立場から自分を経験したりして、過去の人生を実に深く振り返るとのことです。

話がすこしずれましたが、事実の見方を変えてみるのもたまにいいいですよ・・・。

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