岸辺の旅 / 湯本香樹実

岸辺の旅 読みました。

死んだ夫と旅を続ける物語です。一種の銀河鉄道の夜ですかね。

非常にしっとりとした感じがしました。傍らの人間が生きていないわけですから、過去にフォーカスする小説です。どこまでいっても、未来はなく、ただひたすら過去・・・。

セピア色の思い出とよく言いますが、昔はよくわからなかった。この年になって、薄れていく記憶に気づくにしたがい、セピア色の思い出、ノスタルジー。戻れない過去、失ったものの大きさ。そういったものの大事さに気づくようになりました。本当にどうしようもないのですが、決定的なのは過去には戻れないということです。

だから、僕的には、この手法は禁じ手ではあります。戻らない過去を思うより、これからどうするかの方が、自分の意志を世界に投げかけることができます。人間は一度に一つのことしかできません。過去を見るか未来を見るか、迷ったら未来を見ていきましょう。

とはいえ、美しい小説ではありました。著者の湯本香樹実氏の画像を検索したら、イメージしていたヒロインにぴったりでした。

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