クール・ジャパン 世界が買いたがる日本 /杉山知之

クール・ジャパン 世界が買いたがる日本 を読みました。著者の杉山知之氏がCG畑の人なので、アニメ・CG視点の本です。平成18年初版の書籍なのですが、中身的には目新しいものはあまりなく、ちょいとがっかりかな。視点をもう少し広げたらおもしろい本ができるのにな、と思ってします。

村上隆ならフラット・ミュージアムという視点で、浮世絵や鳥獣戯画の日本絵画、二次元アートで語る。確かに、二次元のアニメからつくりだされた三次元のフィギュアは、現実の三次元にはないあたらしい世界だ。

私は、右脳と左脳―脳センサーでさぐる意識下の世界がクールジャパンのそもそもだと解したい。クール・ジャパン 世界が買いたがる日本を読んで、ますますその感を強くしました。ということで、アマゾンに書いた私のレヴューをご紹介。

この本は面白かったです。意外と簡単なテストで脳を調べるのですが、それでわかることが興味深いものがありました。読んでいる最中も、読んだあとも、この本から得られた視点(支点?)で、さまざまなテーマが浮かんできました。テーマ探しにお悩みの方にはお薦めの一冊です。ということで、レヴューというよりは、内容をご紹介したいと思います。 

まず、日本人と外国人の脳の違いです。言語と聴覚で見てみると、虫の鳴き声は日本人は言語として感じる、左脳を使って聞いているのですが、日本人以外の外国人はほとんど右脳で聞いているとのことです。虫の声に限らず、外国人に比べ、左脳で処理する音は多いのです。 
この脳の特性は民族人種とか、DNAとかには依らずに日本語の特性ということです。日本語を母国語として習得するかどうかが問題で、日本民族でも遺伝子が日本人でも、日本語を知らない人はこのような脳の使い方をしないとのことです。 
韓国人とか中国人も東洋人として日本人に似ているのかというとまったくそのようなことはなく、むしろ、ポリネシアとかが日本人と同じような脳の特性をもっているらしいのですが、民族性か、なかなか研究に参画するようなことがなく、確認はしにくいとのことです。これもまた面白い話がたくさんありました。 
民族との関りのエピソードも多少あります。 
「モントリオールの専門家会議のときには、私はその年に出版した『日本人の脳』の要約を・・・説明する機会が与えられたが・・・アフリカの黒人代表は『脳の働きには遺伝的に全人類に共通な部分があるが脳の働きの一部は生後9歳までの言語環境によって決定される。この面では人種差は否定される』という私のデータと解釈に狂喜したのである」 
とはいえ、著作を読まないで批判するという現代の情報操作の落とし穴にも言及されており「最近の国際化の嵐の中では、『日本人の脳』は民族主義的な著作として、社会生物学に告ぐ攻撃目標にされるだろう、決して本は読まない、内容の理解を伴わない攻撃が特徴である・・・」との懸念も示されている。この辺にはまだ深いテーマが見つけられそうですね。 

脳には年輪のようなものも刻まれているということにも驚きました。「聴覚をはじめとする感覚器には40と60、またはその整数倍の周波数や空間的な数の外来刺激を鋭敏に検知する働きがある。・・・刺激は聴覚、振動覚,触覚、視覚などの物理刺激以外に、化学物質の持つ40・60とその整数倍の分子量にも反応した。・・・偶然のことから、この数値が被験者の満年齢の三倍、5倍に相当することに気がついた。・・・人の脳には満年齢の数に対応する「年輪系」があるという概念がつかめた・・・」 
さらにさらに、「宇宙の運行と脳の働き」にまで話が進んでいくのです。人の脳をセンサーとして使い、地震の予知などに使えるとの示唆にも触れています。壮大なテーマが見つけられそうなフィナーレではありました。

レヴューを書いたのが2009/4/10でしたが、この後、なぜ「ポリネシアとかが日本人と同じような脳の特性をもっているらしい」のか、ずーと疑問に思っていました。最近は、ムー大陸関連が怪しいなあと思い始めています。太平洋に沈んだムー大陸の末裔が日本とポリネシアなのかな・・・というところです。